恒産なければ因って恒心なし

『無恒産、因無恒心』    孟子 梁惠王章句上七

{原文}
無恒産而有恒心者、惟士為能。
若民、則無恒産、因無恒心。
苟無恒心、放辟邪侈、無不為巳。
及陥於罪、然後従而刑之、是罔民也。
焉有仁人在位、罔民而可為也。

{訳文}
収入がなくても道徳心があるものは、学問修業をした者だけである。
一般の国民は一定の収入がなければ、変わらぬ道徳心を持つ事ができない。
安定した道徳心がなければ、好き勝手、邪推をしたり、よく考えもせずに罪を犯してしまうだろう。
犯罪をする要因を知っていながら、犯罪を成した後に処罰するなどというのは、
民を罠にかけて騙すようなものである。
仁の道をとる人が君主であるならば、
どうして人民をないがしろにして国を治めることができようか。